種子法とは?

 「主要農作物種子法を廃止する法律案」が平成29年(2017年)4月14日参議院本会議で、自民、公明、日本維新の会などの賛成多数により可決成立した。しかも、恐ろしい事に、この約1ヶ月後の5月11日、農業競争力強化支援法(5月19日公布、8月1日施行)といふ売國法案が國会を通ってしまった。そして、種子法は平成30(2018)年4月1日をもって廃止された。

 そこで本日は、種子法とは?を下記の書籍を参考にまとめる。
 種子法は、昭和27(1952)年5月、サンフランシスコ講和條約(桑港條約)が発効(昭和27年4月28日。戦争終結)して、日本が國家主権を回復した直後に制定された。
 敗戦後の混乱が収まりつつあった昭和26(1951)年、國は検査を受けて種子用として認められた米麦については、食糧管理法(昭和17年制定)の適用から除外するものとし、原種圃や採種圃に國の補助金を投入した。種子法はこの公的種子事業を法的に裏付けたものである。種子法第8條では、都道府県に対し、「主要農作物の優良な品種を決定するため必要な試験を行はなければならない」といふ義務を課してゐる。この「優良な品種を決定する」といふ規定に基づき、奨励品種制度がつくられ、穀物生産の安定化を図ってきたのである。
 種子法に詳しい西川芳昭龍谷大学教授はこの法律が出来た時期に着目し、かう述べてゐる。「戦中から戦後にかけて食糧難の時代を経験した日本が、『食糧を確保するためには種子が大事』と國家主権を取り戻すのとほぼ同時に取り組んだのがこの種子法の制定でした。私はそこに”二度と國民を飢へさせない””國民に食糧を供給する責任を負ふ”といふ國の明確な意志があったと考へます。」

 それでは、種子法とはどんな法律か?を見ていかう。
 正式な名称は、「主要農作物種子法」。種子法は、「第一條 この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産について圃場審査その他の措置を行ふ事を目的とする」といふ一文から始まる。主要農作物とは稲、麦(大麦、はだか麦、小麦)、大豆を指す。種子法はこれらの品質を管理し、優良な種子を安定的に供給する事を全ての都道府県に義務づけた法律である。具体的には都道府県が原種(採種稲の種子)や原原種(原種稲の種子となる大本の種子)の生産を行ふ事や、種子生産圃場の指定や審査などについて定めてゐる。
 農業試験場など都道府県の公的試験研究機関がこれらの種子生産に関はるための予算を、國が責任をもって手当てする「根拠法」ともなってゐる。かつては種子法に基づく補助金があったが、平成10(1998)年に一般財源化され、地方交付税の一部に組み込まれてゐる。

 詳しくは次回に譲るが、昭和61(1986)年に種子法改正、平成7(1995)年に食糧管理法の廃止と食糧法制定により、民間事業者の主要農作物への参入は可能となってゐる。つまり種子法は既に改正されてるにも関はらず、何故廃止されたのか?抑も、種子法を改正するのでは無く、何故廃止なのか?
廃止の経緯、また奨励品種の種子生産過程も含め、次回以降、より踏み込んでいく。

※参考文献
  • 「安田節子著 自殺する種子」
  • 「農文協編 種子法廃止でどうなる? 種子と品種の歴史と未来」
  • 「三橋貴明著 日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム」
  • 安田節子著 自殺する種子 農文協編 種子法廃止でどうなる? 種子と品種の歴史と未来
  • 三橋貴明著 日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム

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