高貴な方の財産について。 「エドマンド・バーク著 フランス革命の省察」から学ぶ。 / 皇室財産令

以前、バーク保守主義についての記事を投稿した。

真正保守(自由)主義とは何か? 「エドマンド・バーク著 フランス革命の省察」から学ぶ

俺は、元は十代の頃から歴史が好きで、憲法や保守思想を調べ始めたのは寧ろ二十歳を超えてからである。
歴史好きはなんら珍しくない。多数ゐるだらう。俺の親父も、歴史にはめっぽう強い。
にも関はらず何故に占領体制が今まで続いてゐるのか。
戦後の政治で「保守」といふ言葉が蔓延ったが、そもそも保守思想とは何か?を有耶無耶の儘としてきた。
「エドマンド・バーク著 フランス革命の省察 (半澤孝麿訳、みすず書房)」を参考文献とする。この書籍は、保守主義のバイブルとされ、エドマンド・バークは保守主義の父と知られてゐる。
歴史や正統憲法観は、ネットが普及した昨今、良書の情報等を手に入れやすくなった。
保守思想にも同じ事が云へるが、思想ともなると、どうにもとっつきにくい、敷居が高い、と思ひがちである。
現にこの「フランス革命の省察」の半澤孝麿訳は、中身は決して容易な表現とは云へない。難解な比喩表現が幾度となく出現する。「半澤孝麿訳は敷居が高くて…」って人は、抄訳版で十分である。

しかしここでは、半澤孝麿訳を参考文献とする。

『私は変更をもまた排する者ではありません。しかしたとへ変更を加へるとしても、それは保守する為でなければなりません。大きな苦痛があれば、何か対策を講じなければなりませんが、いざ実行の段には、我々祖先の実例に倣はねばなりません。』

「エドマンド・バーク著(半澤孝麿譯) フランス革命の省察 313頁」

これは最後の方にある。いざ実行の段には、我々祖先の実例に倣はねばならない、ここがポイントだ!

大日本帝国憲法第六十六條
「皇室経費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ将来増額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝国議会ノ協賛ヲ要セス」

帝国議会の協賛を要しない!
御料および皇族財産の管理は、宮務法のもとでの皇室財産令による。

ところが占領憲法8,88には、、、

占領憲法8条に
「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。」
同88条に「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」

「皇室の費用は、国会の議決を経なければならない。」
??????平気でゐられる奴は日本人ではない。

さあ、今日は、高貴な方の財産について言及してある箇所を抜粋して、学ばう。

『司教や大聖堂参事会員、委託修道院会員などの所有する財産に関して云へば、何故若干の土地財産が世襲されてはならないのか、私にはその理由が見付かりません。土地財産のうち一定の、しかも非常に多くの部分が、それに対する資格としては高度の敬虔と道徳性と学識が理論上常に求められてゐる人々の手に次々と継承されて行くからといって、絶対的相対的に一体どのやうな害悪が齎されるのか、哲学的略奪者のうち誰でも、敢へて示す事の出来る人間がゐるでせうか。しかもその財産は、その目的からして、順次功績に対して与へられ、最も高貴な家族には刷新と授けを、最も下層の家族には高位と出世を齎すものなのです。また、この財産を保有する為には何らかの義務の遂行が条件であり、その所有者の性格としては、少なくとも外面的礼儀正しさと荘重な態度とを持つ事が要求されてゐるのです。彼らはまた、寛大でしかも節度あるもてなしをせねばならず、自らの収入の一部は慈善の為の信託と考へておく事も必要です。かうした人々ならば、たとへ自らの信託に背き、本来あるべき性格も失って、たゞ当たり前の世俗貴族や世俗紳士に成り下ったとしても、それでも、彼らの被没収財産を受け継ぐらしい手合より些かも劣るものではありません。唯一つでも何らかの義務を負ってゐる人々が財産を持つよりは、何も負ってゐない人間が持つ方が-つまり性格と境遇からして美徳を目指してゐる人々よりは、自分の意志と欲望以外には何の規則も指示も受けずに財産を費消する人間が持ってゐる方が-より良いとでも言ふのでせうか。しかもかうした財産保有には、死守譲渡に内在すると考へられる性質や害毒が必ずしも伴ふ訳ではありません。それは他の何者よりも速やかな循環速度で、手から手へと伝へられます。何事であれ行き過ぎはよくありませんし、その意味で土地財産のうち余りにも多くの部分が、職務上の生涯保有になり過ぎてゐるかも知れません。それでも、ある種の財産は、予め貨幣を所有しておくのとは別な方法で獲得する機会があるといふ事が、どんな国家に対しても、重大な害悪を与へるとは私には思はれません。』

「エドマンド・バーク著(半澤孝麿譯) フランス革命の省察 204頁~205頁」

※参考文献
  • 「エドマンド・バーク著(半澤孝麿譯) フランス革命の省察」

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