FRBの創設 ~通貨発行権を握る民間銀行~ 皇紀2682年

 第一次世界大戦が始まる前年、大正2年(1913年)にアメリカでは中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)が設立された。当時のアメリカ大統領は、政治学者出身のトマス・ウッドロー・ウィルソンである。
 ウィルソンは大正2年(1913年)に大統領に就任し、その年の12月23日に、FRB設立の法案を議会に通過させた。著者の渡辺惣樹氏は、『第一次世界大戦を前にして中央銀行を設立する事で、アメリカの軍需産業に対する、与信のメカニズムを作り上げてゐたと言えないでせうか。』と述べてゐる。
 大正3年(1914年)に第一次世界大戦が始まり、大正6年(1917年)にアメリカが参戦。アメリカが大きな戦ひに入り込む為の準備が、大正2年(1913年)にできてゐた。

 中央銀行を作った方が、戦争をしやすい国にできる。そして第一次世界大戦の際にJPモルガンは、イギリスからの受注の一括引受窓口になった。かうした中でアメリカに大量の金が集まり、覇権もアメリカに移っていく。

 中央銀行の創設については、国家の通貨発行権に対する挑戦であるとして、ジャクソン、リンカーンを始めとする歴代の大統領は反対してきた。
 これに対抗してシティ+ウォール街連合は、世界規模の金融危機を作り出して、その救済者となる事で発言権を強めようと画策した。沸騰する米国市場への参入を熱望してゐたシティの銀行家達が、JPモルガンとロックフェラーをパートナーにして、アメリカにも金本位制を導入し、民間出資の中央銀行を設立して米ドルの発行権を握らうと画策した。

 一見、FRBって何する機関?と首をかしげざるを得ないが、当時「中央銀行反対」といふアメリカ世論を押し切る為に、いくつかの細工がなされた。まづ、「銀行」といふ言葉を使はず、「準備制度」といふわけの分からない名称にし、「連邦政府」と同じ「連邦」の名を冠する事で、公的機関のやうに偽装したのである。

性即理

(図壱: 渡辺惣樹、茂木誠著 教科書に書けないグローバリストの近現代史 86頁)

 しかし実態は、JPモルガン、ロックフェラー、クーン・ローブの共同出資による民間銀行が、米ドルの通貨発行権を一元的に掌握できるやうに画策した。
 ジキル島会談のメンバーであるクーン・ローブ商会のポール・ウォーバーグは、政治学者出身でニュージャージー州知事のウッドロウ・ウィルソンを説得し、民主党から大統領選に出馬する事を決意させた。そして、経済に疎いウィルソンの補佐官として、ニュージャージー州知事時代のウィルソンの顧問だったエドワード・マンデル・ハウスを送り込んだ。
 ハウスはロスチャイルド家の代理人だったモルガン財閥に近い人物で鉄道事業で財をなしてゐる。ハウスとJPモルガンが第一次世界大戦の前に、経済学を全く知らない男を大統領に仕立てた。

 大正元年(1912年)のアメリカ大統領選でウィルソン候補は「政府の通貨発行権は譲らない」と公約し、共和党の現職タフト大統領を破って当選した。しかし与党民主党はジキル島会談の合意事項を立法化したオーウェン・グラス法を提出し、翌年12月、クリスマス休暇に入って閑散とする議会で可決させた。
 かうした詐欺紛ひの手法によって、アメリカの通貨ドルの発行権を握る民間銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が発足したのである。

 JPモルガンの詳説については、次回以降に譲る。

※参考文献
  • 「渡辺惣樹、茂木誠著 教科書に書けないグローバリストの近現代史」
  • 渡辺惣樹、茂木誠著 教科書に書けないグローバリストの近現代史

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