菅直人氏が橋下徹氏の弁舌をヒトラーを思ひ起こすと公言したが、恐怖政治の語源は、フランス革命時の主導者たるロベスピエールらによる政治手法からきてゐる。
そのフランス革命時に存在したジャコバン・クラブの傀儡であったのが、国民議会である。ジャコバン・クラブは、比較的穏健なジロンド派と急進的な山岳(モンターニュ)派とで対立するやうになり、軈て山岳派が優勢になって、ルイ16世が処刑される。この山岳派は、一般的にジャコバン派と呼ばれてゐる集団で、ロベスピエールが主導した恐怖政治が敷かれていく。
国民議会を考察するに際し、保守(自由)主義の父と呼ばれるエドマンドバークが著した「フランス革命の省察」で言及があるが、要は、可能な限りあらゆる権力を持ち、可能な限り外的規制を持たないやう構成された一団体であるといふ事である。即ち、基本法も確立した原理も、尊重された手続き規則も無い一団体、しかも如何なる意味での体系性をも守られない一団体である。
バークは、『貴方がたの全能の立法者は、理論上も実践上も嘗て除外した事がない事柄、つまり、一つの元老院乃至何かさういった性質や性格のものを設ける事を忘れた。』と述べてゐるが、即ち、我が国においては、法的に有効な大日本帝国憲法のさらに上位に位置する國體(不文憲法)に合致する。
この国民議会ひいては国家組織には、バークに言はせれば、それと結合し得る何ものか、統治の日常的な細々とした問題において民衆が見上げる事ができる何ものか、国家の行動の中にある傾向性と堅固さとを賦与して一種の一貫性を維持する何ものかが欠落してゐる。
- ※参考文献
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- 「エドマンド・バーク著(半澤孝麿譯) フランス革命の省察」
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