『正統典憲論』支持 ~ 占領基本法無効論 ~

先に、日本国憲法無効論の流派である、『旧無効論、失効論』、『真正護憲論(講和條約説、新無効論)』、『正統典憲論』のいづれも、伊藤博文著『憲法義解』で説明されてゐる以下については、共通してゐる事を述べておく。

『憲法は紛更を容サス、但シ法ハ社会の必要ニ調熟シテ其の効用ヲ為す者ナリ、故ニ國體ノ大綱ハ万世に亘リ永遠恒久ニシテ移動スヘカラスト雖、政制の節目ハ世運ト倶ニ事宜ヲ酌量シテ之ヲ変通スルハ亦已ムヘカラサルノ必要タラズンバアラズ云々』
(伊藤博文著『憲法義解』)

 『正統典憲論』とは、山岸崇さんが提唱する日本国憲法無効論の一流派である。唯ここでは、『正統典憲論』とは何か? を小生如きが、解釈、ましてや再構成等出来る筈もなく、「小生は、『正統典憲論』を支持してゐる」事を、自身ブログにも記録しておきたい次第である。

 『正統典憲論』とは何か?
については、山岸さんのブログ記事を参照されたい。

正統典憲論(占領憲法有効誤認説)とは ~ 真正護憲論(占領憲法講和條約説)との異同など ~

これが正統の大日本帝國憲法復元改正・皇室典範奉還論だ(1) ~ 再掲・正統典憲論 ~

 小生が『正統典憲論』を支持する理由は、一つとして、真っ向から所謂『旧無効論、失効論』を否定してゐる点である。勿論『講和條約説(真正護憲論)』も『旧無効論』を批判する立場にいらっしゃるが、『講和條約説』は、外国との「契約」である條約であり、国際系の規範である事から、條約が優位か?法律が優位か?の議論が起こされ、天皇大権の序列の考察から、條約優位説が正しい、と見出されるのである。

※帝國憲法第十一條、第十三條参照

[大日本帝國憲法十一條]
天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス

[大日本帝國憲法第十三條]
天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ條約ヲ締結ス

この事から、日本国憲法が占領基本法ならば、その占領基本法は、大日本帝國憲法より上位か?下位か? の論争が起こされる。つまり占領基本法を、「国内規範」に組み入れる事が可能か?亦組み入れた場合に、その占領基本法は、「帝國憲法の下位の法律」として成立し得るのか?といふ事になり、当然「戦時国際法、すなはちヘーグ陸戦條約第四十三條に適用される占領基本法」は、帝國憲法下の法律である筈がない、と回答が得られ、占領基本法説である『旧無効論、失効論』が看破されるのである。

[陸戰ノ法規慣例ニ關スル條約 四三條]
『國ノ權力カ事實上占領者ノ手ニ移リタル上ハ占領者ハ絶對的ノ支障ナキ限占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ囘復確保スル爲施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ盡スヘシ

Art. 43. The authority of the legitimate power having in fact passed into the hands of the occupant, the latter shall take all the measures in his power to restore, and ensure, as far as possible, public order and safety, while respecting, unless absolutely prevented, the laws in force in the country.』

 私は、『講和條約説』批判派ではない。『講和條約説』は、(大変失礼承知で)文句のつけやうがなく、精緻な法理論構成となってゐる。従って私も『講和條約説』を支持する立場の人間である。

 ならば『正統典憲論』支持とは、どういふ事か?先に書いたやうに、真っ向から所謂『旧無効論、失効論』を否定してゐる点である。「真っ向から」が重大だ。ここが『講和條約説』と決定的に違ふ点と私なりに解釈してみるのである。『講和條約説』との違ひは、『講和條約説』の核心ともいふべき所で、「日本国憲法とは何なのか?」といふ事である。『正統典憲論』は、この点において、『講和條約説』によって看破された旧無効論の提唱する「占領基本法」に、様相は、逆戻りしてしまふ。しかし、上記に記した山岸さんのブログ記事に、「憲法典としても、他の如何なる法典としても完全に無効であると解釈する」のであって、つまり「日本国憲法は、占領基本法としても無効」なのである。

 『講和條約説』との違ひとは、占領基本法説への批判を同質としながら、講和行為として辿らず、あくまでもヘーグ陸戦條約第四十三條に違反の為、占領基本法の制定を否認する点なのである。すなはち、上の「真っ向から」とは、『旧無効論、失効論』は、占領基本法有効論(日本国憲法は憲法として無効、占領基本法として有効)であるのに対し、『正統典憲論』は、占領基本法無効論となる。占領基本法の制定を否認するとは、大東亜戦争後から制定された法令等も、大日本帝國憲法下で制定されたものと解釈される。よって、「大日本帝國憲法に合憲の法令は有効で、帝國憲法に違反する法令は無効」となる。法的安定性の問題は、占領基本法として有効と認める事から生じるのである。実はこの点、つまり大東亜戦争後から制定された法令等を大日本帝國憲法に照らして判断される点も、『講和條約説』と全く同等なのである。

 このやうな理由から、私は、『講和條約説』も『正統典憲論』も双方支持してをるが、『正統典憲論』は、講和行為として辿らず、ヘーグ陸戦條約違反の為に、憲法典のみならず、他如何なる法典としても無効と解釈する点に感動した為、私の立ち位置を、『正統典憲論』とさせて頂いてゐる次第である。さらに生意気にも、『正統典憲論』を「占領統治(基本)法無効論」と云はせて頂いてをります。

 山岸さんがブログで、『ただ、憲法学上の理由ではなく、何らかの政治的な理由によって、占領憲法を講和條約であると解釈しない方が良いやうな事態が生じた場合、それによって帝國憲法復元・皇室典範奉還が不可能になってしまふやうなことだけは避けたい。』
と仰ってるやうに、いざ決断の時、『講和條約説』、『正統典憲論』のどちらを執るべきか?といった選択肢があった方がよいのではないか、と私も思ふのである。

 ご都合もありませうが、是非とも、『正統典憲論』の書籍を出して頂きたいと、切に願ってをります。
 

※参考文献
  • 「菅原裕著 日本国憲法失効論」
  • 「南出喜久治著 占領憲法の正體」
  • 菅原裕著 日本国憲法失効論
  • 南出喜久治著 占領憲法の正體

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