占領犬法(日本国憲法)と類似点があるヴァイマル憲法及びその運用 ~5月3日の占領犬法押しつけ屈辱の日に~ 皇紀2681年

 また今年も例年通りの5月3日、即ち占領犬法(日本国憲法)押しつけ屈辱の日を迎へる事になった。
日頃から私は、法的に無効な占領犬法と占領典範の無効確認、そして大日本帝國憲法復元改正と正統な明治皇室典範奉還を訴へてゐる。

 そこで今月は、占領犬法と類似点があるヴァイマル憲法及びその運用について、研鑽したい。

 アドルフ・ヒトラーはヴァイマル憲法には条文の解釈と運用次第で独裁的権力が生じる可能性がある事をよく理解してゐた。
「ヒトラーがヴァイマル憲法を14年で消滅させた。」と云ふのが通説のやうだが、既に共和国の為政者がそれを都合よく利用してきており、その事もヒトラーは知ってゐた。

 大統領緊急令にせよ、授権法にせよ、既に先の14年間何度も用ゐられてきた。歴代の少数派内閣を支へてきたのは、大統領緊急令だった。だが、ヒトラーの前の政権、とくにパーペン政権時代にあまりに頻繁に出された為、大統領緊急命令権の濫用、つまり憲法違反疑義が発せられるやうになった。
 ヒンデンブルグ大統領は、大統領緊急令による統治をいつまでも続けるわけにはいかないと考へるやうになってゐた。そこで浮上したのが授権法だったのである。
 授権法により、国会の立法権を政府に付与し、強い政府を作れば良い、とヒンデンブルグは考へた。国会は有名無実となるが、実は授権法はこれまでにも何度か(立法範囲と有効期間を限って)ヴァイマル共和国期に制定されてをり、憲法改正と同様、国会の三分の二の賛成が得られゝば、成立してゐた。

 ナチ体制は、ヒトラーが首相と大統領の権限を合はせもつ総統の地位に就く事で確立した。ヒトラーはドイツの国家元首になった。ヒンデンブルグ大統領がヒトラーを首相に任命してから約一年半、「ボヘミヤの上等兵」と軽んじられた男は、ついにヒンデンブルグを凌ぐドイツ史上最強の権力者となった。
 この間、ヴァイマル共和国憲法は改正される事なく形骸と化し、見せかけ上の合法性のもとで国家と社会のナチ化が進んだ。政治弾圧は左翼反対派だけでなく、一部の保守派や、ナチの特別隊にも及んだ。ヒトラーの「権力掌握」は「総統ヒトラー」の誕生で完遂し、ドイツはヒトラーの独裁下におかれた。

 ヒトラーから見れば、ヴェルサイユ条約だけでなく、ヴァイマル憲法も、第一次世界大戦に敗れた結果、戦勝国から不当に押し付けられたものだった。その結果、国民は戦ふ意思と能力を失ってしまった。その国民を再び戦争の出来る国民に作り変へる事。フォルクスゲマインシャフト(国民共同体と民族共同体)は、その為の絶対条件だ。ヒトラーはさう考へてゐた。
 ヒトラーのフォルクスゲマインシャフトには、階級社会の現実を覆ひ隠す(水平的な)平等主義と、真に力のある者を指導者として尊ぶ(垂直的な)実力主義の響きがある。この一見矛盾する二つの方向を統合するのが、全体への献身と自己犠牲の精神だ。

 さて、我が国では、正統な憲法典たる大日本帝国憲法下で、統帥権干犯問題や、また、帝国憲法には首相も内閣も記載が無い事が欠陥となって、軍部の暴走を招いたとする主張もある。然るに私は、大日本帝国憲法が遵守されず、違憲行為の繰り返しによって形骸化されたことが問題であった、と云ふ論派である。
それに該当する帝国憲法第五十五條の改正案(「梓弓」山岸さんの大日本帝國憲法改正案)については以前に投稿した。

内閣制度を明文化 ~ 大日本帝國憲法第五十五條の改正 ~

 帝国憲法第五十五條について、伊藤博文著「帝国憲法義解」に沿って、改めてその真義を確かめたい所存であるが、今日は此処で締めくゝらせて頂き、次回に譲る。

※参考文献
  • 「石田勇次著 ヒトラーとナチ・ドイツ」
  • 「伊藤博文著 帝國憲法 皇室典範義解」
  • 石田勇次著 ヒトラーとナチ・ドイツ
  • 伊藤博文著 帝國憲法 皇室典範義解

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