エディ・フォークス(デトロイト)とブレイク・バクスター(デトロイト)といった耶蘇教暦1980年代からシーンに関はってきたハウスDJは、1990年代初頭にベルリンの〈トレゾア〉レーベルと関係を築き、1992年には3MBとの共作をリリースしてゐる。3MBといふのは
三人のマザーファッカーなベルリン人
の略で、その正体はジ・オーブの作品でも知られるトーマス・フェルマンと〈ベーシック・チャンネル(ベルリン)〉のモーリッツ・フォン・オズワルドとマーク・エルネストゥスである。この時期3MBは完璧にデトロイトにコミットし、フォークスに続いてブレイク・バクスターともコラボレーションを果たしてゐる。
3MB & Eddie ‘Flashin’ Fowlkes – Famous Last Words
M500 a.k.a Juan Atkins & 3MB – The Cosmic Courier / Bassmental
最もUR(アンダーグラウンド・レジスタンス。デトロイト)のX-シリーズのアルバムも〈トレゾア〉からリリースされたやうに、デトロイトはベルリンのアンダーグラウンドと強く結びついてゐた。
X-101 – Sonic Destroyer
1993年に〈トレゾア〉からリリースされたコンピレーションはそのアルバム・タイトルは、『Berlin Detroit a Techno Alliance』(ベルリン・デトロイト・テクノ同盟)だった。アルバムにはURやジェフ・ミルズ、ホアン・アトキンス、エディ・フォークスらと〈ベーシック・チャンネル〉の曲が収録されてゐた。
Tresor-Berlin Detroit a Techno Alliance
Underground Resistance – Jupiter Jazz
デトロイトで生まれたテクノのビートが、大西洋を越へ、全く新しい意味を持つ事になる場所。それが、ドイツのベルリンであった。デトロイトから届いたテクノの、硬質で、反復的で、どこかインダストリアルな響きは、ベルリンの若者達の心を見事に捉へた。それは、彼らが手にしたばかりの自由のサウンドトラックであり、コンクリートの廃墟で踊り明かす為の、完璧な音楽だった。
この動きの中心となったのが、1991年にオープンした伝説のクラブ「Tresor(トレゾア)」である。Tresorはドイツ語で「金庫」を意味する。
Tresorの創設者であるディミトリ・ヘーゲマンは、デトロイトのアーティスト達を積極的にベルリンに招聘した。ジェフ・ミルズやブレイク・バクスターといったデトロイトのレジェンド達が、Tresorでプレイする事で、ベルリンのシーンは本物の熱気を帯びていく。それは、単なる音楽の輸入ではなかった。二つの都市の魂が、ダンスフロアで共鳴し合ふ、奇跡のような瞬間であった。
- ※参考文献
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- 「野田努著 ブラック・マシン・ミュージック ~ディスコ、ハウス、デトロイト・テクノ~」

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