『太田述正著 防衛庁再生宣言』は、24年前の書籍であるが、その中で太田氏は、
米国に対し、日本が今後積極的に国際貢献に取り組む姿勢を明らかにした上で、在日米軍駐留経費負担を(昭和53(耶蘇教暦1978)年以降に始めた部分)を10年間で全廃すると米国に通告する
事を訴へてゐる。
「思ひやり」予算が日米の信頼関係を損ね、かつ米軍の合理的な資源配分を捻じ曲げてゐる事に加へて、米軍基地で働く日本人従業員の給与や米軍の光熱水費を「思ひやり」の一環として100%負担してゐる事が、米軍や米軍軍属、さらにはその家族を堕落させてゐる。
他人に経費を100%負担してもらえれば、人間誰しも節約する気がなくなり、電気も水道も使ひ放題となる。米軍人が家族とも/゛\夏期休暇で本国に帰郷する際、クーラーをつけっぱなしにするといふ話は、作り話ではない。
基地従業員の給与を100%負担した事も、とんでもない結果を生んだ。従業員給与でも「思ひやり」を始めて以来、在日米軍の軍人や軍属の数は減り続けたのに、基地従業員数は増え続け、とりわけ100%負担になって以降の従業員の増え方は大きい。米軍が、いらない従業員まで雇ってゐるばかりでなく、従来は米軍人や軍属がやってゐた仕事を従業員に肩代はりさせてゐるのだ。
とりわけ、日銭商売をして独立採算制をとってゐる軍関係諸機関は、そこで働いてゐる人々の給与相当額を100%日本政府が負担してゐる事により、大変な黒字となってゐる。その黒字が本国に吸ひ上げられ、全世界の米軍人や軍属、家族がその恩恵を受けてゐるが、誰もその事を知らず、感謝もされてゐない、といふ笑ひ話にもならない状態となってゐる。
無論、予算には限りがあるので、予算を使ひ切れば、それ以上の部分は米軍側の負担となる。しかし、その予算も、つひ最近(当時)まで、過去三年間の使用実績を踏まへて、上方修正するルールになってゐた。その結果、100%負担経費の額は、うなぎのぼりに増え続けたのである。
こんな野放図な事を考へた(当時)防衛庁も防衛庁だが、査定した大蔵省も大蔵省だ。大蔵省が官庁の中の官庁と威張ってゐた時代にあっても、およそ査定能力も査定意思もなかった事は、これだけもよくわかる。
かやうな「思ひやり」予算の全廃が為される事で、米国は米国自身の自由な判断でアジア・太平洋地区に関はる合理的な軍事資源配分ができるやうになり、必要不可欠な部隊を除いて日本から米軍を撤退させる事が可能となる。
- ※参考文献
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- 「太田述正著 防衛庁再生宣言」

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