大日本帝國憲法復元改正手続き 其の二の一

前回旧無効論に於ける復元改正手順を記した。

今日は、新無効論による復元改正手順を「南出喜久治著 占領憲法の正體」を引用、或いは参考に表す。
復元改正手順に於いては、書籍でもネットでも調べる事が出来るが、このブログでも書き綴っていきたい。また”其の二の一”としたのは、「新無効論による手順について」投稿記事を何回かに分けて記していく意である。一回のみでは書ききれない為である。

まづ復元とは、「認識の復元」の事である。占領憲法が憲法として無効であり、帝國憲法が現存してゐるといふ「認識」を「復元」といふ表現で行ふ「確認的決議」であって、新たにその時点で「復元させる」といふ「創設的決議」では無い。

占領憲法は、國会を國権の最高機関(占領憲法四十一条)として、議院内閣制を採用してゐる事から、占領典範と占領憲法が正統性などを欠く無効のものである事をこれらの國家機関が宣言(自白)すれば足りる。他の國家機関が行ふよりも、「國権の最高機関」であると自画自賛してゐる國会がこれを行ふ事の方が、政治的には望ましい。
この宣言は、無効であるものを無効であると認識する意思の表明であって、新たに無効化する事(改めて廃止、失効させる事)では無い。つまりこの決議の法的性質は、新たに法律関係又は法律状態を変化(形成)させ、規範を創設、廃止、改正したりする「法律行為(立法行為)」としての「創設的決議」ではなく、帝國憲法が現存し、占領憲法が憲法としては無効であって、これまでの規範國體以下の憲法體系(法令の効力の劣後関係)に何ら変化がなかったといふ法律状態(事実)を確認するだけの憲法解釈的な「確認的決議」であって、単なる「事実行為」に過ぎない。
つまり占領憲法の改正ではないから、國会が行ふとしても、占領憲法九十六条の改正手続によるものではない。占領憲法五十六条に準じて、衆参両議院の各々総議員の三分の一以上の出席によって議事を開き、その出席議員の過半数で可決して、國会に於いてその意思を表明すれば足りる。しかも、衆参両議院の双方がしなければならないものでもない。いづれか一方だけでもよい。これは臣民に対して周知させる為の「政治的決議」であって、「法律的決議」ではないからである。

次に占領典範の無効確認決議について述べる。占領典範は國民の権利義務を規定した法律ではなく、皇族だけに適用があるものであるから、無効確認決議をすれば当然に排除される。
これと同時に明治典範の廃止が無効である事の確認決議が為されるべきであるが、この明治典範の廃止は、帝國議会で議決されたものではない。帝國憲法第七十四條には、「皇室典範ノ改正ハ帝國議会ノ議ヲ経ルヲ要セス 皇室典範ヲ以テ憲法ノ條規ヲ変更スルコトヲ得ス」とあり、明治典範の廃止は、帝國議会が関与せず、昭和二十二年五月一日の「皇室典範及皇室典範増補廃止ノ件」によって廃止された事になってゐる。しかし「明治典範廃止」は「明治典範改正」には該当しない事も明治典範廃止の無効理由であるから、規範國體を顕現する明治典範がGHQの強制によって形式上は廃止された事実とそれが無効である事を明らかにし、GHQの暴力を承継して設置された「暴力の切れ端」である國会がそれを自白して、皇室及び皇族、さらに臣民に対する「謝罪決議」を為す事に大きな政治的意義がある。

明治典範

[帝國憲法第七十四條] 一. 皇室典範ノ改正ハ帝國議会ノ議ヲ経ルヲ要セス
二. 皇室典範ヲ以テ憲法ノ條規ヲ変更スルコトヲ得ス

[占領憲法四十一条] 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

[占領憲法九十六条] この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

[占領憲法五十六条] 1. 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2. 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

※参考文献
  • 「南出喜久治著 占領憲法の正體」

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